愛さないことにかけては世界の方が上手

詩人・ライターの喜久井伸哉(きくい しんや)による愚文集

2020-01-01から1年間の記事一覧

【現代詩】心の壊し方を教えてください

(Photo by Pixday) 心の壊し方を教えてください未だ私には悲しめるほどの心が残っています痛みを避けたいと思ってしまうほどの理性も明日が来ることにおびえてしまう恐怖も私には未だ残ってしまっています 涙の枯らし方を教えてください肉体の源は尽きてい…

ひきこもり当事者の雑誌『IRIS(イリス)』(2003-2006年)総目録

今回は、ひきこもり当事者の雑誌『IRIS(イリス)』の目録を掲載する。 『IRIS』はひきこもりや「生きづらさ」が主なテーマとなっていた雑誌(同人誌)で、 2003年から2006年の約3年のあいだに、12冊が刊行された。 創刊のきっかけは、NPOの東京シューレがひ…

ひきこもり当事者の新聞『ひきこもり新聞』(2016年-)紙面版目録

今回は、ひきこもり当事者メディア『ひきこもり新聞』の、紙面版の目録を掲載する。 www.hikikomori-news.com 「ひきこもり新聞」は、2016年に創刊されたひきこもり当事者のメディア。ウェブ版と紙面版があり、現在も活動が継続されている。 創刊以来多くの…

ひきこもり当事者の雑誌『ひきポス』(2018年ー)冊子版目録

今回は、ひきこもり当事者による雑誌『ひきポス』の記録をまとめる。 www.hikipos.info 私も創刊当初からかかわり、ウェブ版は月に2~4本のペースで記事を更新してきた。冊子版でも、9冊のうち4冊で記事を発表している。 概要 『ひきポス』は、ひきこもり当…

〈風刺映画〉の監督ベスト11

今回は、映画史上最高の「諷刺」を描き出した監督11人をピックアップする。※ツイッター (https://twitter.com/ShinyaKikui )と当ブログでまとめている「諷刺家備忘録101」の84~94番。 No.84 チャーリー・チャップリン 映画史に残る不滅の「喜劇王」。『モ…

現代アート展「教育(仮)」構想 #読む人に想像してもらうインスタレーション

現代アート展「教育(仮)」構想 〈場所〉 廃校、もしくは現在使用中の学校校舎で、VRを用いて実施する。学校全体を展示会場にし、鑑賞者は校内を自由に見てまわる。 〈鑑賞者の服装〉 中学校の制服を配布し、鑑賞者に着用させる。不快感がある程度に小さな…

「私」 #読む人に想像してもらうインスタレーション

今回は、ツイッター(https://twitter.com/ShinyaKikui)で気まぐれに出している「#読む人に想像してもらうインスタレーション」をまとめます。一部未公開。 「インスタレーション」とは現代アートに用いられる用語で、空間全体の修飾や、鑑賞者参加側のパフ…

【写真】金子光晴「寂しさの歌」付

どっからしみ出してくるんだ。この寂しさのやつは。夕ぐれに咲き出たやうな、あの女の肌からか。あのおもざしからか。うしろ影からか。 糸のようにほそぼそしたこころからか。そのこころをいざなふいかにもはかなげな風物からか。 その寂しさは、僕らのせす…

【現代詩】伝統

伝統 国を食べなさい。国の足の裏を食べなさい子供たち。タンポンのように詰め込んで麻薬を密輸するために満杯にしたはらわたのようにすこやかに育ちなさい。住みなさい子供たち。微生物が鼻腔にびっしりと張り付いているようにしっかりと国になりなさい子供…

【現代詩】有名だからカフカを読んでみたけど全然面白くなかったしどちらかというと嫌い

有名だからカフカを読んでみたけど全然面白くなかったしどちらかというと嫌い 誰か私に謝ってほしい。頭を下げて心からの謝罪をして私を明確に世界の被害者に固定してほしい自己責任でも思慮の欠如でもない0対10の過失の決定を 朝のポストには集団からの謝罪…

【現代詩】本当に美しい人生を生きていたらインスタの加工なんてやっている場合じゃない(「中絶」と検索したことのあるすべての人生に)

本当に美しい人生を生きていたらインスタの加工なんてやっている場合じゃない(「中絶」と検索したことのあるすべての人生に) 自分の人生が映画に値していない時によく観るネットフリックス誰からも物語られないとわかっている時にはかどるキンドルいつだっ…

【現代詩】不要不急の薔薇

不要不急の薔薇 薔薇は担保にならない。紙幣でもなければPayPalの1円にもならない。不動産の契約書ではないしAmazonポイントでさえない。ボードレールの全行は人生に如かず飢えている者にとって文學は無意味だ。 詩の言葉は徹底的に役立たずであり試験と違っ…

【現代詩】引き潮

引き潮 昨日はひどい津波だったと明日の人間が語っている。私はまだ名前を発見できない今日の引き潮を生きている。 人々は火山灰のようなものを恐れ通り魔のようなものに身構えていた。街は震災のように荒廃しいずれでもないものによって被災地だった。 皆が…

【現代詩】最低限度の酸素的な生活 (新型コロナウイルスの感染拡大に伴う文化的な防衛活動の実施 2)

最低限度の酸素的な生活(新型コロナウイルスの感染拡大に伴う文化的な防衛活動の実施 2) リモートワーク中に克己心をダウンロードしておいてよ春が来てもローディング画面から動かない私の人生は5Gでも挙動がままならない自己に忙殺されている常住坐臥 …

【現代詩】新型コロナウイルスの一人称による国際政治へのオード(感染拡大に伴う文化的な防衛活動の実施)

新型コロナウイルスの一人称による国際政治へのオード(感染拡大に伴う文化的な防衛活動の実施) 私達がまだコウモリにぶらさがっていられた頃は人々は唾を交わせながら交尾していられたいかなる時代であっても嬰児は丸ごしで生まれ微力な呼吸器しか持たない…

【本】芹沢俊介著『「存在論的ひきこもり」論』 「ひきこもり」論の歴史になるべきだった一冊(5000字の概要付き)

私は「ひきこもり」と言える孤立した十代を過ごし、人との関係を結ぶことに多大な困難を抱えながらも、二十歳の頃をシューレ大学というオルタナティブ・スクール(フリースクール)で過ごした。 シューレ大学は社会通念的なガッコウのカリキュラムと違い、各…

「学力」の結晶 (子ども若者表現応援基金 2019年度奨学生発表会 スピーチ)

先日、「2019年度子ども若者表現応援基金」(https://hyogen.thyme.jp/)の発表会がありました。 基金は「不登校経験者や、オルタナティブスクールで学んだ子ども・若者」を対象として、一定の助成金が付与されるものです。 私は幸運にも第一回奨学生に選ば…

詩集『ぼくはまなざしで自分を研いだ』を発表しました

詩集が出ました。 書籍情報題名:ぼくはまなざしで自分を研いだ(ぼくはまなざしでじぶんをといだ)著者:喜久井ヤシン(きくいやしん)制作:子ども若者表現応援基金ページ数:132pサイズ: 12.8 × 18.2 × 1.0 ㎝※本書は「子ども若者表現応援基金」の助成…

中村佳穂 いのちの歌としての『きっとね!』の歌詞の意味

今回は、中村佳穂さんの代表作「きっとね!」の歌詞のリミックスをおこなう。 Kaho Nakamura - Kittone! [Official Music Video]「きっとね!」(作詞:中村佳穂 作曲:中村佳穂 荒木正比呂)公式MV 中村佳穂さん自身がインタビューで語っているように、歌詞…

【本】詩人・最果タヒさんの魅力は?

某取材にて、詩人の最果タヒさんについて聞かれる機会がありました。 一部は『ひきポス』(https://www.hikipos.info/)の記事に活用しましたが、多くは未使用だったので、当ブログで掲載します。 ※※※※※※※※※※※※ ―—最果さんの詩を読むようになったのはいつか…

【諷刺録】特筆すべき現代アーティスト5組 バンクシー/アイ・ウェイウェイ/カテラン/ムニーズ/Chim↑Pom

気まぐれ更新の「諷刺作家備忘録」で、今回は現役の現代アーティスト5組を取り上げる。“騒ぎになること”を商売としているかのようなお騒がせな面子(めんつ)がそろった。あるラッパーに、『オレは人を不快にさせるのが仕事なんだ』という発言があったが、…