愛さないことにかけては世界の方が上手

詩人・ライターの喜久井伸哉(きくい しんや)による愚文集

2021-03-01から1ヶ月間の記事一覧

【現代音楽】呼吸合唱曲(文章による楽譜)

上演の必要条件 ・多様な音域の歌い手数十名をそろえなさい。 ・演者は舞台上で音声を発してはならない。 ・小規模なコンサートホールの狭い舞台に、大勢の者たちを密集して並ばせなさい。出演者の口を覆う物も、お互いのあいだに置かれる仕切りも、客席との…

【漢詩】山河破れて国在り(杜甫「春望」パロディ)

春亡 山河破国在城春森闇深時感川涙濺別恨啼鳥驚峰火三月連公書万金障禿頭掻逆長欲不勝五輪 山河破れて国在り城春にして森氏の闇深し時に感じては川が涙を注ぎ別れを恨んでは啼鳥に驚く峰火 三月に連なり公書 万金に障る禿頭を掻けば逆に長くなり五輪まで勝…

【現代詩】 大変身 (詩集『ぼくはまなざしで自分を研いだ』収録作)

大変身 ある朝平凡なぼくが目覚めたらぼく以外の全員が虫になっていた。それでこの世界でただ一人ぼくだけおかしくなったと言われた。 お前がすこしでも我々をわかってくれたなら良いものを。人間であるという不備にどれだけの触手が検診したか。 ぼくは汚辱…