愛さないことにかけては世界の方が上手

詩人・ライターの喜久井伸哉(きくい しんや)による愚文集

2023-02-01から1ヶ月間の記事一覧

【断想】《注意》壊れています さわってください

《注意》壊れています さわってください 私ってたぶん病気のサンバカーニバルの通り道になってる 被験者としてなら医大の首席だよ 私の靴 売ります 未使用 うつが心の風邪?どこが?心のALSじゃなくて? 毎日スプリンクラーみたいに泣いてるリビングを芝生に…

【断想】《よくある質問》 命から退会するにはどうしたらいいですか?

神様はきっと陰キャ私に出てこないじゃん どうやら私のうつは徒歩圏に住んでる 一括の自殺は思いとどまったけど生きていない日々を分割払いしている未来がたびたび過去に押収されているよ 金があれば過ごしていけるけど暮らしていけるわけじゃない 生活する…

【断想】私のかわいい死者(今なら涙でスプラトゥーンできるぜ)

私に墓地が新設された 私は立ち止まっているわけじゃない死者に歩調を合わせているだけ 私のかわいい死者見つめるたびに表情が変わる語りかけるたびに思い出が変わるこれじゃあ離れられないでしょ この世は死者のハーレムじゃん 故郷には死者が棲息している…

【断想】舌の墓地

黙れという刑に処され口内に監禁された舌 言い難き嘆きもて口の陣痛を倦む 歯列を蹴る足は二十年目の舌の臨月 舌の根に墓地を発見しても耳が墓守を務めるとは限らない 大きな声量によって届けないといけません大きな聴量なんて送られてきませんから 殺した者…