愛さないことにかけては世界の方が上手

詩人・ライターの喜久井伸哉(きくい しんや)による愚文集

2022-05-01から1ヶ月間の記事一覧

【散文】離岸(ひきこもり断想)

沖合に孤立してあえいでいる私に、人はなぜ愚かに溺れているのかと問うだろう。だが独りぼっちの漂流の始まりはささいな流れだった。足のつかない海洋に身を浮かべていたとき、予想よりもほんのわずか岸辺から遠のいていたにしても、健康な手指で少し水をか…