愛さないことにかけては世界の方が上手

詩人・ライターの喜久井伸哉(きくい しんや)による愚文集

2019-05-01から1ヶ月間の記事一覧

【現代詩】死とは五月のことではありませんでした

死とは五月のことではありませんでした 死とは五月のことではありませんでした。ふつうの子だとか良い子だとか一生が青空の下の野原のように語られても彼は駆け出しはしませんでした。死とは音楽のことではありませんでした。お経だとか無伴奏チェロ組曲だと…

【現代詩】喜びで死んでしまわないように

喜びで死んでしまわないように 母さん わざわざ云わなくてもずっと以前から実践していることだけれど何か気まぐれのような突発的な間違いであってもどうか僕を愛するような身振りをしないで。語るべき時にやさしい言葉をかけて 黙すべきときに良質な沈黙をし…