愛さないことにかけては世界の方が上手

詩人・ライターの喜久井伸哉(きくい しんや)による愚文集

【断想】過去が立ちふさがって未来に進めない

 

どんな現実も、僕の想像力ほどは美しくなかった。

 

先鋭化した記憶は、いくつになっても現在に刺さる。

 

過去が立ちふさがって未来に進めない。

 

あまりにも磁力を持ちすぎて、いつまでも遠ざからない昔。

 

思い出の欠損を想像力のペンキで塗り直す。

 

想像力が発達すると、人は過去に弁護士を送り込めるようになる。

 

自分の輪郭線を彫るのはいつだって他人だ。

 

漫画やアニメは間違っている。個人の存在は主線によって描かれるべきものではない。個人以外の色彩が寄せ集まったことでできる、あいまいな差異の輪郭によって描画されるべきだ。

 

「ふつうの人生」という無間地獄

 

病気に自分の肉体が飼われている

 

この国は戦争の不責任条約の締結をよく守っている。

 

幸福な狂人がつかのま正気にもどる不幸。

 

思想が消化されていく頭の中の胃袋。

 

難消化性の思想。

 

作家に限らず、飢えた子供を前にして誰に何ができる?

 

特定の生きものを臆病=攻撃的にさせたいなら、性器を外付けにすればいい。ホモサピエンスのオスのように。

 

小さな加害も大きな被害を生む

 

上(かみ)の見えざる手に踊らされている貧困層

 

結局のところ経済を動かしているのは、よく見える人の手。

 

個人的なことは家族的なことだ。

 

人は見ずにても死ぬ

 

井の外に蛙飛び込む土の音