愛さないことにかけては世界の方が上手

詩人・ライターの喜久井伸哉(きくい しんや)による愚文集

ひきこもり当事者の雑誌『ひきポス』(2018年ー)冊子版目録

 今回は、ひきこもり当事者による雑誌『ひきポス』の記録をまとめる。

www.hikipos.info

私も創刊当初からかかわり、ウェブ版は月に2~4本のペースで記事を更新してきた。冊子版でも、9冊のうち4冊で記事を発表している。

 

  概要

『ひきポス』は、ひきこもり当事者、経験者の声を発信する情報発信メディア。生きづらさ問題を当事者目線で取り上げ、当事者・経験者・家族・支援者へ、生きるヒントになる記事を届けることを目的としている。

WEB版は2017年12月にスタート。冊子版は2018年2月に創刊。
売り切れの号が多数あるが、最新号などはAmazonでも購入できる。

制作には、『ひきこもり新聞』編集メンバーや、ひきこもり当事者向けのイベント「フューチャーセッション IORI(庵)」 の参加者などが有志で参加。

「ひきポス」の名称はWEBメディアの「ハフポス(ハフィントンポスト)」をもじっている。

 

創刊以来、多くのメディアで紹介されてきた。
テレビ NHKハートネットTV」「クローズアップ現代」「ニュースウォッチ9」他
雑誌「AERA」「週刊女性」「教育」他。
新聞「朝日新聞」他各紙。
単行本『扉を開けて』かもがわ出版 2019年)、『いまこそ語ろう、それぞれのひきこもり』(日本評論社 2020年)他。
フランスなどの外国メディアでも多数紹介されている。

また、主要執筆者のぼそっと池井多は、「ひきポス」の連載をもとにした『世界のひきこもり』(寿郎社 2020年)を刊行した。

 

名称 ひきポス(「HIKIPOS」も使用)

編集長 石崎森人(いしざき もりと)

WEBサイト https://www.hikipos.info/

ツイッター https://twitter.com/hikipos1

フェイスブック https://www.facebook.com/hikipos/

紙面 A4サイズ・フルカラー
      1~3号 20ページ・4~9号 24ページ
  ( ※紙質は雑誌の『AERA』と同じとのこと。)
価格 定価 500円(送料別)
   ※当事者価格 100円・応援価格2000円など。WEB版はすべて無料。

 特集/発売時期
第1号 なぜ、ひきこもったのか 2018年 2月
第2号 こうして人とつながった 2018年 5月
第3号 ひきこもりと恋愛・結婚 2018年 8月
第4号 ひきこもりと「働く」 2018年11月
第5号 ひきこもりと幸福 2019年3月
第6号 ひきこもりと父  2019年 7月
第7号 ひきこもりと偏見 2019年11月
第8号 ひきこもりと友達 2020年3月
第9号 ひきこもりと健康 2020年7月

 ※現在第10号を制作中

 

(WEBサイトでの創刊号の紹介文)

ひきこもり当事者発信メディア「ひきポス」では、WEBにアクセスしづらい方のためにも、実際に手に触れ、紙をめくって読める媒体が必要だろうと考え、冊子版を制作いたしました。

創刊号である今号では、ひきこもり当事者・経験者として多様な経験をした著者たちが、「なぜひきこもったか」というまさに直球のテーマに挑みます。
時に鋭く、時に重く、時に優しく、自身の言葉で語ります。洗練された言葉もまとまりきらない言葉もあります。そして、言葉で言い尽くせない苦悩が伝わってくる記事もあります。

人生には色々な形があります。希望を見出せる人生もあれば、いまだ暗闇の中の人生もあるでしょう。
今まさに彼らが発しているリアルな声を、彼らが感じている希望と絶望を、創刊号から受け取っていただけるのであれば、これに勝る喜びはありません。

親や支援者にもわかりやすく記事はブラッシュアップされ、WEBに掲載していない新しい記事も多数収録されております。

ご購入いただいた金額はひきポスの継続や、執筆した当事者の原稿料になりますので、ご協力いただけると幸いです。

より多くの方に読んでいただけるように、編集部員一同で制作いたしました。ぜひ一度お手にとってご覧ください。

 


創刊号 なぜ、ひきこもったのか

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 目次
●自己否定・主体性・つながり感 石崎森人
●「弱さ」を表に出さないとつながれない  ロングロウ
●母との関係が、すべての基盤となった  ぼそっと池井多
●物心ついたときから恐怖の中だった さえきたいち
●【マンガ】自己否定人間の作り方教えます カトーコーキ
●【インタビュー】カトーコーキさん
●専業主婦と、毒母と、娘と がきんちょ
●終わりなき”いじめ”と地方の闇 Toshi
●「ガッコウへ行け」のルールに全員が縛られた 喜久井ヤシン
●〈世界のひきこもり〉 フランスのひきこもり当事者ギードの場合 ぼそっと池井多

 

 

第2号 こうして人とつながった

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 目次
●人とつながる最初の一歩「銀の匙をもて」 さとう学
●動画配信サイトからつながる ロングロウ
●私たちが実践したコミュニケーション不安を和らげる方法 編集部
●「ふつうの人」になりすます  ぼそっと池井多
●【マンガ】ボクがコミュ障である理由 カトーコーキ
●社会に出ていくよりも、逃げること 喜久井ヤシン
●支援を活用しボランティアでつながる
●過去の記憶、未来に重ねて Wataru
●ダイエットでつながる 瀧本裕喜
●家族を失った僕が、地域の資源とつながるまで がきんちょ
●〝あきらめたらそこで試合開始ですよ〟「ひきこもりトータルビューティープロジェクト」河面乃浬子さんインタビュー
●自殺のない社会へ 割田大悟
●〈世界のひきこもり〉フランスの女性ひきこもり当事者テルリエンヌの場合  ぼそっと池井多

 

 

第3号 ひきこもりと恋愛・結婚

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 目次
●支援者への恋 ~ラブ・トライアングル~ さとう学
●ひきこもりが結婚してみたら 猫田良子
●片想いこそ最高の恋愛術 ぼそっと池井多
●「正社員になれたら…」~ひきこもりを出た頃と「あの子」の思い出~ Toshi
●「キモい」がつけた傷跡 ToD AMi
●【マンガ】ボクが恋愛できなかった理由 カトーコーキ
●当事者同士の結婚 林恭子さん ぼそっと池井多
●彼氏はひきこもり ~どんな条件よりも彼がいい~ かすみ草
●恋愛するより本を読む方が安心 瀧本裕喜
●ゲームの世界に恋する ロングロウ
●二重の生きづらさを抱えて 「ひきこもり」で「ゲイ」の私から 喜久井ヤシン
●世界のひきこもり フランスからのメッセージ 「ひきこもりだって恋をする!」ぼそっと池井多 

 

 

第4号 ひきこもりと「働く」 ―就労はゴールか?―

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 目次
●自己否定を抱えたまま働く危うさ ゆりな
●ひきこもりはすでに働いている ぼそっと池井多
●ラブ&ワーク「あなたがいるから、わたしは頑張れる」 さとう学
●ひきこもりへの偏見で苦しめられた ―大企業に入社できたけれど― ワケあり女子
●ひきこもりから年収一千万へ ―人はカネのみにて生くるものに非ず― ウェンズ
●【マンガ】ひきこもりのゴールが就労ではない理由 カトーコーキ
●〝どう生きたいか〟を決めるのはわたし さつき
●就労も、ひきこもりも、ただ流れに任せるちゃーりー
●実際にやってみた!「ひきこもり系が向いている仕事」ひきポス編集部
●就労して解決すること、しないこと Medium
●復讐としての就労 ―「悪魔の中学」の同窓会の誘い―  Toshi
●〈世界のひきこもり〉アメリカのひきこもり ひきこもりなど夢にも思わなかった父ショーン・C

 

 

第5号 ひきこもりと幸福

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 目次
●親が親の人生を生きる  ワケあり女子
●ひきこもりこそわが幸福 ぼそっと池井多
●母親が発した「私が世間一般の考え方」  ゆりな
●私は幸せになれないし、ならない 湊うさみん
●みんなの意見 「ひきこもりにとって幸福とは何か」 ひきポス編集部
●しあわせ健康生活  秋久いつか
●あなたのためを思っては偽善である よしだ
●【マンガ】他人のモノサシでは幸せになれない理由   カトーコーキ
●ひきポスで得た幸福感  僕らは、幸せになる義務がある さとう学
●不幸のどん底から立ち直った方法  石崎森人
●生きることを、自分からはやめない  ロングロウ
●息子から母に伝えたい子離れの詩 ジブラーン作 「子どもについて」 喜久井ヤシン
●〈世界のひきこもり〉 アルゼンチンのひきこもり 見栄っ張りな社会に戻りたくない ぼそっと池井多

 


第6号 ひきこもりと父

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 目次
●父よ、生きているか  愛
●されど愛しき我が暴君  さとう学
●父親の女性観が娘の人生を左右する  ユウキ
●弱みを見せない、私に無関心な父  ゆりな
●みんなの意見 こうして欲しかったよお父さん  ひきポス編集部
●ひきこもりの息子を亡くして想うこと 佐々木善仁さんインタビュー  ぼそっと池井多
●【マンガ】父に苦しめられたボクが一番彼を理解してる理由  カトーコーキ
●父の不在が毒母を生む  ワケあり女子
●ひきこもった父  よしだ 父性が持てない父たちの時代  ぼそっと池井多
●立派な父と、ひきこもりの私 ― ホームシック ―  Toshibr
●「父との関係性=社会との関係性」説  石崎森人
●私を捕まえにやって来る  マドモアゼル・キナコ
●「パパ」はどこへいった? いくつかのカルチャーに見る父親像  喜久井ヤシン
●フィリピンのひきこもり 否定する声が直に耳に入ってくる  ぼそっと池井多

 


第7号 ひきこもりと偏見 ーメディア・イメージ・犯罪者予備軍ー

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  目次
●〈弱者のイメージ〉「こちら側」と「あちら側」 ワケあり女子
●〈偏見に無自覚な社会〉壁の向こう側  尾崎すずほ
●〈犯罪者予備軍〉混濁する二つの声 ひきこもり当事者の中の加害者性  ぼそっと池井多
●〈ひきこもりと偏見〉みんなの意見 「今までに受けた偏見」 Toshi・石崎
●【マンガ】生きづらゆうれいサン「心療内科あるある」「実家に帰ろう」 おがさわら
●〈ひきこもり像〉僕はひきこもりである前に、僕  さとう学
●〈内なる偏見〉偏見の源流を辿る  ゆりな
●〈ひきこもりとメディア〉メディア人が語るひきこもり報道  インタビュー・ぼそっと池井多
●〈親バカの視線〉「それはあなただからできたのよ」 ロングロウ
●〈支援者〉一支援者からみた「ひきこもりと偏見」 馬場佳子
●あなたの「ひきこもり」はどんな意味? 実は広い「ひきこもり」の定義 喜久井ヤシン
●<世界のひきこもり>バングラデシュのひきこもり ひきこもりは経済的余剰の産物ではない  インタビュー・ぼそっと池井多

 


第8号 ひきこもりと友達

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 目次
●友達は心の奥底では「怖い」  湊うさみん
●学校で友達が一人もできなかった結果  立瀬マサキ
●「友達がいる」と言えない  高丸ユウキ
●〈人生ペースメーカー〉としての友達  ぼそっと池井多
●無駄な時間  尾崎すずほ
●生きづらゆうれいサン  おがさわら
●みんなの意見「ひきこもりと友達」 ひきポス編集部
●「友達」って本当に必要?  Medium
●仲間は友達以上の存在 ―友達不要論―  アラヤダおばさん
●ひきこもりと猫  ひきポス編集部
●吾輩も猫である  ワケあり女子
●僕のフレンド、いつかはレジェンド  さとう学
●〝急いでゆっくりしろ〞 ひきこもりが真剣に取り組むべきは就労訓練よりも「遊び」 喜久井ヤシン
●<世界のひきこもり>アフリカ・カメルーン 世界でオレだけだと思ったぜ、ブラザー!  インタビュー・ぼそっと池井多

 

 

第9号 ひきこもりと健康

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 目次
●健康の価値が分からなかった ロングロウ
●失ったもの、残ったもの すー
●ひきこもって極度の運動不足になるとどうなるか 石崎森人
●心と身体のディスタンス さとう学
●身体の音 尾崎すずほ
●いくつものハードルを越えて ぼそっと池井多
●【漫画】生きづらゆうれいサン おがさわら
摂食障害とからだ ―瓦解する食生活― ゆりな
●健康の問題はお金の問題でもある 湊うさみん
●みんなの意見 「ひきこもりと健康とコロナ」 ひきポス編集部
●ウィルス恐怖症とコロナ禍 マナキ
●ひきこもり脱出を阻む、ホルモンバランスと体力不足 がきんちょ
●苦しさを認めることから、リカバリーが始まる 南しらせ
●朝鮮民主主義共和国 北朝鮮のひきこもりから考えること ぼそっと池井多

 

 以上。現在第10号を制作中。

〈風刺映画〉の監督ベスト11

今回は、映画史上最高の「諷刺」を描き出した監督11人をピックアップする。
ツイッターhttps://twitter.com/ShinyaKikui )と当ブログでまとめている「諷刺家備忘録101」の84~94番。

 

No.84 チャーリー・チャップリン

映画史に残る不滅の「喜劇王」。
『モダン・タイムス』(1936年)で歯車の中を通っていく労働者像を見せ、『独裁者』(1940年)では地球儀で遊ぶ政治家のワンシーンを残した。貧しきチョビヒゲ男が金持ちを翻弄するドタバタ喜劇は、諷刺をふくめたすべての映像表現の歴史を変えた。

チャップリンという例を見ても判るやうに、天才的な道化はしばしば天才的なジャーナリストなのだ。(丸谷才一

映画独自の諷刺を生み出した、最初にして最大の人物はチャーリー・チャップリンである。(M・ホジャート)

独裁者 The Great Dictator [Blu-ray]

 

No.85 マルクス兄弟

代表作『吾輩はカモである』は、政治風刺映画の古典。グルーチョが自国の兵士を得意げに打ちまくるラストなど、物語の狂乱は国家の狂乱を反映しているといえる。公開は1933年で、世界恐慌の真っただ中。大衆が笑える時代ではなく、商業的には大失敗だったという。レオ・マッケリー監督のスラプスティックな演出力が栄えるが、山盛りの笑いの中に、笑えない諷刺風味のスパイスが混ざっている。
 

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No.86 スタンリー・キューブリック

幾多の問題作を世に送り出した監督。『博士の異常な愛情』(1964年)は、シリアスな原作だった『破滅への二時間』を「悪夢のようなコメディ」ととらえ、風刺作家のテリー・サザーンの脚本協力によって強烈なストーリーに生まれ変わった。『2001年宇宙の旅』などの作品でも見せた、SFらしい壮大な構想力が発揮されている。

博士の異常な愛情/または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか (字幕版)

 

No.87 ロバート・アルトマン

1970年に、戦場ど真ん中のイカれた軍医達の喜劇『M★A★S★H マッシュ』が大ヒット。しかし喜劇にとどまった作家ではなく、深刻に描かれた『ショート・カッツ』や『プレタポルテ』などで、個性的な監督としての評価を高めた。比喩的な意味でも衣服的な意味でも丸裸の人間をとらえた過激な群像劇は、消費社会と喪失の時代を描いて哀感がまじる。

マッシュ [DVD]

 

No.88 チョ・ポムジン

アニメ映画「アーチ&シパック ウンコ大戦争」という作品がある。チョ・ポムジン監督が残した唯一の長編だが、諷刺的で激しい映画を求める人は見るべきだ。

本作はエネルギー源がウンコだけになった世界で、ウンコを求めたクソ闘争がくりひろげられるアクション脱糞大作。ウンコと血にまみれたこの作品が発するメッセージは一言だけ。世界に対する「クソ!」である。
 

アーチ&シパック 世界ウンコ大戦争 [DVD]

 

No.89 トレイ・パーカー&マット・ストーン

アメリカのコメディアニメ「サウスパーク」の制作陣。
毎回時事ネタと侮辱語が粗雑なアニメーションによって乱舞する。親が子どもに見せたくないタイプの、お下品アニメの代表格である。
劇場版の「サウスパーク 無修正映画版」(1999年)は地獄とカナダを巻き込んだ壮大な展開で、フセインと赤鬼のベッドシーンなど、風刺のナイフを真正面から刺し、なおかつ人気も得た。「アンクルファッカー」、「カイルのババアは腐れビッチ」、「ヤク中の浮浪者人生はごめんだろ」など、ミュージカルアニメ史上最低の言葉による名曲がそろっている。

サウスパーク 無修正映画版(字幕版)

 

No.90 ミヒャエル・ハネケ

パルム・ドール受賞など、国際的評価の高い映画監督。
「セブンス・コンチネント」(1989年)、「ファニーゲーム」(1997年)など、生命に価値を認めない冷徹な視線がキャリアを貫いている。静的で硬質なカメラの眼が、いかなる弛緩もゆるさない哲学者のような潔癖さで世界を構築。殴打や流血だけではない、本質的な意味で人間に加えられる「暴力」を描き出している。

ファニーゲーム [DVD]

  

No.91 トッド・ソロンズ 

居心地の悪さを描かせたら右に出る者のない監督である。
「ハピネス」(1998年)など、人生に打ちひしがれた人々が、「笑える」のではなく「笑うほかない」喜劇に追放されている。善意と悪意を同時に欠如した人間像を見せられることで、左派的な道徳観が揺さぶられるような鈍痛にあう。
 

ウェルカム・ドールハウス [DVD]

 

No.92 マイケル・ムーア

ボウリング・フォー・コロンバイン」(2002年)などのドキュメンタリーで知られる映画監督・活動家。
明確な反対意識をもってブッシュ政権や資本主義をターゲットにし、多くの人に伝えるためのスピーディでわかりやすい脚本を作り出している。だが作品を生み出す原動力となっているのは、伝えるべきことを伝えるための、ムーア自身の情熱だ。

マイケル・ムーアの世界侵略のススメ(字幕版)

 

No.93 サシャ・バロン・コーエン

現代英国のコメディアン。
カザフスタン人に扮してアメリカ文化に突撃する「ボラット」、ゲイに扮してアメリカ文化に突撃する「ブルーノ」など、ドキュメンタリーコメディ映画の傑作がある。幾度突き進んでもネタがあふれているのは、喜劇の異常さが到達できないほどの、アメリカ文化の異常さが異常なためだ。

ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習 (吹替版)

 

No.94 ウディ・アレン

1935年米国生まれ。近年のプライベートなトラブルを別とすれば、半世紀以上第一線に立っている偉大な映画監督。高純度の喜劇的脚本を尋常でないペースで大量に生み出し、映画の文法そのものに多大な影響を与えた。
初期の『バナナ』や『スリーパー』等で描いた笑劇は、時に馬鹿らしさを貫いて最高水準の諷刺にまで到達している。
 

ウディ・アレンのバナナ [DVD]

 

現代アート展「教育(仮)」構想 #読む人に想像してもらうインスタレーション

 

  現代アート展「教育(仮)」構想

 

〈場所〉

 廃校、もしくは現在使用中の学校校舎で、VRを用いて実施する。学校全体を展示会場にし、鑑賞者は校内を自由に見てまわる。

 

〈鑑賞者の服装〉

 中学校の制服を配布し、鑑賞者に着用させる。不快感がある程度に小さなサイズを着用させる。

 

〈展示風景〉

 

1—A教室

 鶏29羽が監禁して飼育されている。校庭側と廊下側の窓から眺めて鑑賞できる。かなり騒々しくなるが、それでよい。

 

1—B教室

 羊29匹が監禁して飼育されている。校庭側と廊下側の窓から眺めて鑑賞できる。かなり窮屈な飼育環境となるが、それでよい。

 

2—A教室

 各机と椅子29組がゲージになっており、それぞれにネズミが一匹ずつ閉じ込められている。すべてのネズミに大量の餌を与えること。

 

2-B教室

 教室全部を水槽にし、廊下側から水族館のように鑑賞する。魚29匹がいるが、餌は与えず、共食いとなる。

 

3-A教室

 椅子の位置に29の樹を植え、長期間放置する。部屋全体が植物に侵食されていく。

 

3-B教室

 机や椅子(旧式のもの)を29組並べるが、椅子の座面を土にする。そのうちの28の座面で植物を栽培する。同一種だが、生育の速度などはすべて異なる。一定まで成長したら、すべてを同一の長さに切りそろえる。

 

空き教室

 教室の真ん中で、生身の子どもが一人で勉強している。制服姿で、そばを通る鑑賞者には反応しない。

 

カウンセリングルーム

 何もない部屋の真ん中に、首吊り用のロープ一本のみがぶら下がっている。

 

保健室 

 部屋の部分を建築的に削り取り、ドアを開けたらすぐ外に出られるようになっている。

 

トイレ

 鑑賞者が使用することもできるが、男子便所の大を使った場合、外から囃し立てられ、長時間使うと上から水をかけられる。

 

門扉

 本来は開閉式の門が移動可能な20センチほどの隙間を、地下十メートル以上の深さまで掘っておく。学校と外の地域との間に小さな谷底ができるかたちとなる。スマホなどを落とした場合でも回収不能

 

校庭周辺の植え込み

 樹木が並んでいるが、すべて幹が立ったまま中間部分で切断されている。その隙間に水平にガラス面がはめ込まれており、遠くから見るとふつうの樹木のようだが、近づいてみるとすべて中間部分の幹が接続していないことがわかる。

 

 

 〈 関連イベント〉

 

・「みんなで一緒に『個性』を書こう!」 

・参加者に習字をさせ、「個性」という字を書いてもらう。それ以外の文字は不可。書きあげたあとで、下手な文字を教師役の人間が赤字で厳しく添削する。正しく書けるまで居残り・書き直しをさせ、参加者全員がほぼ同一の「個性」を書けるようになるまで、イベントの終了を許さない。

 

・「みんなで『人』を組み立てよう!」

「人」という文字のパーツを2メートル前後の立体で複数作成し、訪れた人に協力して組み立ててもらう。アンバランスな「人」や刃物付きで危険な「人」などがあり、最後には巨大な「人」(圧死する危険がある重さ)を大勢で支え、おのおのが笑顔で写真に映る。

 

 

 

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