愛さないことにかけては世界の方が上手

詩人・ライターの喜久井伸哉(きくい しんや)による愚文集

作品「アンチ」 #架空の現代アート

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労働者階級の男達が大勢でデュシャンの「泉」をとり囲み、全員で小便をかける。

タイトル「オーダーメイド」

 

 

 

各家庭の便所に、学校の机・イス・ランドセルなどを設置する。

タイトル「クソ」 

 

 

 

逆に、「バンクシ―」と書いたネズミをオークション会場にばらまく。

 

 

 

キャンバスにバナナを貼りつけただけの作品を展示し、900万円の値をつけて販売する。

タイトル「モノマネ芸人」

 

 

 

ジェフ・クーンズの「バルーンドッグ」を(無断で)撤去し、周囲の建物や壁に破裂した風船のオブジェを張り付ける。

 

 

 

 

李禹煥作品を河原に還す。

 

 

 

軍の長官が書類を読み、PCを操作し、コーヒーを飲み、背伸びをするなど、事務仕事をしている様子が長時間続く映像。

タイトル「ジェノサイド」

 

 

 

公共の場に、空気、音、香り、霧などの非物質を用意し、「ご自由にお持ちください」と掲示する。

 

 

 

フィギュアスケートのエキシビジョンで「4分33秒」を演技。

 

 

 

美術館の来場者を、無作為に複数人で囲んでスマホ撮影する。

タイトル「アンチ・インスタグラム」

 

 

 

風景を平面に見せ、あらゆる現実を写真的な二次元として鑑賞させる特殊なゴーグル。

タイトル「アンチVR」

 

 

 

ペッパー君が骸骨の頭部をハンマーで粉砕し、アシモが人骨をかじるなど、ロボットたちが人間を破壊する地獄絵図。

タイトル「人間はどこから来たのか、そしてどこへ行くのか」

 

 

 

実際の記者会見や国会質疑などを、CGを用いて広大な室内でポツンとおこなわれているように見せる。コンサート会場の最後列からステージを見るような遠景で、大まかな人の動きしか認識できない。

タイトル「遠くから見れば喜劇」

 

 

 

コント番組やコメディ映画などで使用された、室内のセットを撮影した写真集を制作する。すべて無人の室内だが、一部に実在する家庭内の写真を混ぜ、虚構と現実の境目を曖昧にする。

タイトル「喜劇」

 

 

 

 

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喜久井ヤシン Twitter

https://twitter.com/ShinyaKikui