愛さないことにかけては世界の方が上手

詩人・ライターの喜久井伸哉(きくい しんや)による愚文集

2024-11-01から1ヶ月間の記事一覧

【意訳】李賀「感諷五首 其の三」現代詩カバー「私はそいつらほど狂っていない」

李賀「感諷五首(かんぷうごしゅ)其の三」意訳 南の奥州は無残の極み人の歳月に似た風雨が咲いたばかりの花を散らす(どうやらその雨は発狂していた) 月光は山火事のごとく燃え樹影は熱病のゴッホより廻る孤独な小径が尽きる頂点にまがまがしい満月が燃え…

【意訳】李賀「感諷五首 其の四」現代詩カバー「百万の馬鹿」

李賀「感諷五首(かんぷうごしゅ)其の四」意訳 さあ夜明けだ夜の闇が退場し暁が万物の箇条書きを始めるおのおのがおのおのの生を生きるのだ さあ荷物を担いで食っていくため玄関を出ろお前の生を荷うような輩はこの世でお前だけではないか 君平(くんぺい)…

【意訳】李賀「感諷五首 其の五」現代詩カバー「清きせせらぎあり」

李賀「感諷五首(かんぷうごしゅ)其の五」意訳 岩間に清き水のせせらぎあり痩せた秋草の揺れる岩辺よ葉の乱れ茂る小径を行けば 上着に竹の香がうつりゆく 雲間に清き光のせせらぎあり峰のあいだに湧いた新月の泉月明りのしずくがもやをつくり天来の清流を山…