愛さないことにかけては世界の方が上手

詩人・ライターの喜久井伸哉(きくい しんや)による愚文集

2024-09-01から1ヶ月間の記事一覧

【断想】自由律川柳(裏金とカエル編)

日本沈没前夜 政府「適切に対処します」 母親の提供でお送りしました 家族 自民党:最低公約数的同意 檸檬屋に爆弾として本一個 井の中の蛙大海では死なず 夏草や石にしみ出る芭蕉の句 ひろいみちから ふみはずしてくもり空 悪意はない ただお前がこの世にい…

【断想】自由律川柳(ピノキオと鶏肉編)

人間たちの羅生門に鼻かぜをひくピノッキオ 舌のない生き物に生まれよアダムイヴ 人はパンのみで生くるにあらず基督者(クリスチャン)パンセのみでも生きれぬものを 産まれたあと 父の胎内で生きてきたずっと ペガサスの馬刺しではなく鶏肉のほう 吾思う 故…

【断想】まなざしはビザを出さない

石に入る僕の声別名を囁く夏草深緑の盛る日も梢には蝉の沈黙 耳が国境線を引く他人の緯度は遠い目はビザを出さず舌共の難民ボート 迷妄の夜にも追憶は火打石冷水を燃やし熱気球が上る 猿に還りたい舌の硬化症状人のだんまりに絶唱する太古 顔を壊してると笑…

【断想】そして地球の裏側で人間の舌がひるがえり

そして地球の裏側で人間の舌がひるがえりバタフライ・エフェクトの嵐がやってくる今日の谷底ではためいた小さな舌の勇気も百年後の山頂で誰かの前髪を揺らすだろう 自分を演じすぎてしまったときに出会う他人にわたしたちはすぐに自分を譲渡しすぎてしまうう…