愛さないことにかけては世界の方が上手

詩人・ライターの喜久井伸哉(きくい しんや)による愚文集

エッセイ

【当事者研究】本当の「不登校の原因」を語るにはどうしたらよいか(後編) 「行きたいけど行けない」ことを語りなおすために

前回と今回は、二回に分けて、当事者研究を載せている。私は、いわゆる「不登校」において、「行きたいけど行けない」感覚があった。「原因は何か」、と、さんざん聞かれてきた。しかし、自然なかたちで、理解される応答をすることは、難しかった。この数十…

【当事者研究】本当の「不登校の原因」を語るにはどうしたらよいか(前編) 「行きたいけど行けない」ことを語りなおすために

今回と次回は、二回に分けて、当事者研究を載せる。私は、いわゆる「不登校」において、「行きたいけど行けない」感覚があった。「原因は何か」、と、さんざん聞かれてきた。しかし、自然なかたちで、理解される応答をすることは、難しかった。この数十年の…

【エッセイ】死者は見える 死は見えない コロナウイルスに奪われた「日常」の悼めなさ

今回は、コロナウイルスと死についてのエッセイを掲載します。私が参加している『ひきポス』のウェブサイトに載せる予定でしたが、書いていてあやふやな内容になってしまったため、自ら廃案(ボツ)にした雑文です。 なお、この文章には、東日本大震災・自殺…

さようなら「現代詩手帖」 詩をつまらなくさせた男性詩人たちの半世紀

「ふーむ」彼は言った。「韻律が強調している超現実的な隠喩の裏には、か……」しばらく考えてから、ぞっとするような笑みを浮かべてノートを閉じた。 「あんなやつら、なんど殺しても殺したりん」 (ダグラス・アダムズ『銀河ヒッチハイクガイド』) 「ふーむ…

「学力」の結晶 (子ども若者表現応援基金 2019年度奨学生発表会 スピーチ)

先日、「2019年度子ども若者表現応援基金」(https://hyogen.thyme.jp/)の発表会がありました。 基金は「不登校経験者や、オルタナティブスクールで学んだ子ども・若者」を対象として、一定の助成金が付与されるものです。 私は幸運にも第一回奨学生に選ば…

中村佳穂 いのちの歌としての『きっとね!』の歌詞の意味

今回は、中村佳穂さんの代表作「きっとね!」の歌詞のリミックスをおこなう。 Kaho Nakamura - Kittone! [Official Music Video]「きっとね!」(作詞:中村佳穂 作曲:中村佳穂 荒木正比呂)公式MV 中村佳穂さん自身がインタビューで語っているように、歌詞…

【本】詩人・最果タヒさんの魅力は?

某取材にて、詩人の最果タヒさんについて聞かれる機会がありました。 一部は『ひきポス』(https://www.hikipos.info/)の記事に活用しましたが、多くは未使用だったので、当ブログで掲載します。 ※※※※※※※※※※※※ ―—最果さんの詩を読むようになったのはいつか…

【本】読んでいて「へー」っとなった箇所ランキング2019 国際インポテンツジャーナル、米良地方の子守唄、配線用差込接続器について他

今回は、この一年くらいの読書中に「へー」っとなった箇所をランキング形式にして並べていく。ベスト10のうち上位にいくほど個人的な要因で選んでいるため、基本的に伝わりづらくなっている。あくまで私の読んだのが今年というだけで、出版年は無関係。適当…

あいちトリエンナーレ2019 展示されていない作品を鑑賞していない記録・写真30点

先日、「あいちトリエンナーレ2019 情の時代」を鑑賞した。名古屋に一泊し、愛知芸術文化センター、名古屋市美術館、豊田氏美術館と、四間道・円頓寺といった主要な会場を周遊。トリエンナーレにふさわしい現代アートの祭典であり、先端的な刺激に満ちていた…

【諷刺家ファイル】日本の戦中・戦後の画家たち 河原温・中村宏・石井茂雄・浜田知明

このブログは詩や1コマ漫画などさまざまな形式の記事を出しているが、元々は趣味の諷刺研究のアウトプットに使うという目的があった。諷刺家については、以前ツイッターで「諷刺作家備忘録101」をやり、101人分のリストがある。今回はそれらのまとめの一つと…

うってんぱらりん中村佳穂 『そのいのち』の歌詞を激しく意訳する

《活動報告》 雑誌『ミュージックマガジン』2019年8月号に、『トム・オブ・フィンランド』の映画評を書いた。機会があればご覧ください。 ミュージック・マガジン2019年8月号:株式会社ミュージック・マガジンmusicmagazine.jp そしてそれとは一切関係なく、…

絵を描く作家たち 酉島伝法、ブッツァーティ、ムロージェク他

先日、酉島伝法の『宿借りの星』(東京創元社 2019年)を読んだ。異形の者が「本日はお皮殻(ひがら)もよく」というような、造語をはじめとした創造力と遊びに満ちており、SF的世界に耽溺できる小説だった。 しかし個人的に注目したのは、著者自身が写実的…

〈 電話恐怖症 〉の当事者研究・試論

先日、WEBメディアの『ひきポス』で、私自身の電話恐怖症について書いた。 WEB検索などで「電話恐怖症」について調べると、基本的には対人恐怖や不安障害の一種として扱われている。「会社にかかってきた電話をとること」、「周囲の人に自分の通話を聞かれる…

【コラム】読書の真骨頂 「ネトウヨ」に読書家はいない

書店へ行くと、「マンガでわかる」とか「一日〇分で身に着く」とか、即効性を売りにした本がベストセラーの棚に並んでいる。効率的な情報処理は時代の要請でもあるだろうし、私自身がその手の本のお世話になったこともある。けれど本を開き、文字を追い、自…